ELNEC(End-of-LifeNursingEducationConsortium)は、2000年に米国のアメリカ看護大学協会(AmericanAssociationofCollegesofNursing:AACN)とCityofHopeNationalMedicalCenterが開発した、エンド・オブ・ライフ・ケアに携わる看護師に必須とされる知識修得のための教育プログラムです。
疾患や対象に関わらず、エンド・オブ・ライフ・ケアを提供するために必要な基本的知識を教育するためのELNEC-Coreは、
- 1)Nursing Care at the End of Life
- 2)Pain Management
- 3)Symptom Management
- 4)Ethical Issues in Palliative Care Nursing
- 5)Cultural Considerations in End-of-Life Care
- 6)Communication
- 7)Loss, Grief & Bereavement
- 8)Final Hours
- 9)Achieving Quality Palliative Care
の9つのモジュール(学習単位)から構成されています。
それぞれのモジュールには、詳細な指導方法や補助教材等の教育ツールが盛り込まれているため、ELNEC指導者養成プログラムを受講してこのツールの使い方を習得した指導者は、すぐにELNEC看護師教育プログラムを実施することが可能となります。
ELNECにはELNEC-Coreの他、ELNEC-Geriatric、ELNEC-Oncology、ELNEC-PediatricPalliativeCare、ELNEC-CriticalCare、ELNEC-Graduateなどのプログラムがあります。
ELNEC指導者養成プログラムは世界各地で行われており、これまでに96カ国22500人以上の看護師が受講し指導者となっています。
さらにELNECは、ロシア語、スペイン語、日本語、韓国語など多くの言語に翻訳されており、国際的に広く普及しているプログラムと言えます。
わが国での活動としては、2007年に厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究事業)「がん医療の均てん化に資する緩和ケアに関する医療従事者の育成方法に関する研究」班の分担研究(分担研究者竹之内沙弥香)として、ELNEC-Coreを日本語に翻訳したELNEC-J(End-of-LifeNursingEducationConsortiumJapan)コアカリキュラム指導者養成プログラムを開発いたしました。
そして2009年度より、日本緩和医療学会の事業としてELNEC-Jコアカリキュラム指導者養成プログラムの普及を開始しました。
これまでに1877名が指導者養成プログラムを修了し、それぞれの医療機関や地域でエンド・オブ・ライフ・ケアや緩和ケアに関しての指導者として看護師の教育を実施しています。
ELNEC-J教育プログラムとは、ELNEC-J指導者が一般看護職を対象にELNEC-JのすべてのModuleに関する教育を、ELNEC-Jコアカリキュラム指導者用ガイドを用いて実践するものです。
米国のELNEC-CriticalCareの教育ツールを、日本のクリティカルケア領域でも活用できるように、2014年より急性・重症患者看護専門看護師、集中ケア認定看護師及び大学教員で構成されたメンバーにて「ELNEC-Jクリティカルケアカリキュラム(以下ELNEC-JCC)指導者用ガイド2015」を開発しました。
開発過程において、2回のピアレビュー、1回の有識者レビューを実施し、内容の妥当性、実施可能性を検証しました。
2015年には「ELNEC-JCC指導者用ガイド2015」を用いて、「ELNEC-JCC看護師教育プログラム」を開催し、回を重ね、現在は日本集中治療医学会を中心に「ELNEC-JCC看護師教育プログラム」を開催しています。
2016年より「ELNEC-Jクリティカルケアカリキュラム開発研究会」を発足いたしました。
本研究会は、クリティカルケア領域のエンドオブライフケアの質向上のために、ELNEC-Jクリティカルケアカリキュラム指導者用ガイドの開発やこれを元にした研修プログラムの開発と実施・評価をし、普及することを目的としています。
2018年9月にはELNEC-JCC指導者用ガイド2018」をリリースいたしました。
今後、ELNEC-JCC指導者養成プログラム修了者(ELNEC-Jクリティカルケア指導者)に対して、フォローアップ研修や最新情報・エビデンスの提供などを配信したいと考えております。
2018年10月